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全てがFになる 森博嗣

読書が趣味の私。

学生の頃、図書館で見つけた森博嗣のS&Mシリーズは人生観を変えた。

 

それまで本屋大賞などのおススメを読んでいた私が初めて自発的に手に取った本。確かギリギリ実写ドラマ化する前だったと思う。タイトルに惹かれて読み始めたらビックリした。理系の人々が理系の言葉で会話しているではないか。しかも説明は一切なし。文系の人は、なんかよく分かんないこと言ってんな。くらいに感じるはず。それくらいバッチリ理系なのだ。今読み返すと理解できるが当時はまだよく分からない部分もあった気がする。でも、その雰囲気の新鮮さに触れて一気に読んだ。読み終わったらすぐに次の巻を探していた。それくらい面白かった。

隔絶された島での殺人事件。殺された天才。密室。ミステリーとしてはありがちな設定かもしれないが、それを補って有り余るほどの新鮮さが登場人物の会話と文体に現れている。そして、タイトルの意味がわかった時の納得感。理系なら嬉しくなるような、意外な裏切り。キャラの個性が抜群である。国立大学助教授の犀川創平と学長の娘の西之園萌絵。この2人を指してS&Mシリーズと言うのだが、この2人の会話がとにかく気が利いているのだ。しかし理系の人間はこんなに余裕のある喋り方はしない。できない。もっと必死である。西之園萌絵のような猪突猛進型は結構多いと思う。

そして2人とも天才である。ついでに作者も頭がいい。天才の考え方、思考の方法が垣間見えるのだ。たまに付いていけない事もあるが。天才の思考回路に触れることができるこの小説は学ぶことの喜びを認識させてくれた。エンターテイメント小説もいいが、やはり心にどこか残るような説得力のある小説を読みたいと感じるようになった。これは完全に作者の術中か。早く続きが読みたい。

しかもシリーズは10作ある。その後につながるシリーズも10作。そしてそれまでの20冊に深く関係してくる4冊がある。これを全て読むと一つにつながるのだ。そんなこと知らずに読んでいた私は思わず、そうだったのかと呟いてしまった。

そして結局、1から買って読み返している。読み返すうちにお気に入りの巻がどんどん増えていく。そんなシリーズである。オススメしたい。